曖昧トルマリン

graytourmaline

■ 60話に入れようとして入らなかった『いわく』

■ 武器物語(エイゼルの杖ver.)

■ 桃の木+ドラゴンの心臓の琴線 18cm

■ 中二病を全面に押し出した話

■ とてつもないDOD臭

善行者の祝福

 己の善行で世界を救おうとしたものの、人々からの理解が得られず西の端の国から追放された旅人が、東の端の国でとある恋人達に出会った時の話をしようか。
 恋人達は桃の木に宿る妖精と泉に棲まう竜で、種族が違っていても共に永きを生きる者同士、互いに助け合いながら山奥で仲睦まじく暮らしていたそうだ。
 異種族ながらもその姿に激しく心を打たれた旅人は、是非2人の愛を祝福をさせて欲しいと懇願し、2人も旅人の真摯な態度を見て取って、その提案を快く了承したらしい。
 喜んだ旅人はすぐに支度を整え、竜の棲まう泉に毒を流し、妖精の宿る桃の木を切り倒したそうだ。そうして遂に、弱った2人を殺して、その死体で杖を作ったんだと。
「恋人達の体を削り1つに繋いだ愛の結晶、これ程尊いものはこの世に2つと存在しない」
 己の善行で世界を救おうとしたものの、人々からの理解が得られず西の端の国から追放された旅人は自らの行いを褒め称え、死ぬまでその杖を肌身離さず持ち歩いたそうだ。