キルメニー・カイル
ガスパード・シングルトンが放った先程の失言にも満たない言葉を訂正するのだろうかと無言で続きを促してみると、予想は外れ、NPOに関する情報は後日資料として纏めて送ってくれるというものだった。
「皆様お一人ずつに訊いて回る行為を、クリーチャーは勧奨いたしかねます。何故なら、レギュラス様が関わり合いになられた組織の説明だけで日が暮れてしまうからです」
「ブラック家ではなく、レジーだけでそうなりますか」
10代の年若いレギュラス・ブラックで半日。それに加え、残り10年程で1世紀を生きようとするアークタルス・ブラックと、大戦を生き抜いたマリウス・ブラック。人数として見ればたった3人だが、どうなるかくらい私にも想像出来る。時間的な意味合い以外にも、後日送付の文字媒体ならば検閲がかけられるのでクリーチャーとしてもそちらの方が何かと都合がいいのだろう。
ブラック家はあらゆるスケールが桁違いだと嘘偽りのない心で呟いてから、彼の気遣いに感謝する旨を告げると嬉しそうな表情をされた。
不正や脱法、明確な犯罪に対する隠れ蓑が一体どれだけ存在しているのか少しばかり気にはなるものの、その辺りならば素直にアークタルス・ブラックへ突撃すれば解決するだろうから、今この場で言及すべきではない。恐らく半分程度はオルフォード・クラックネルのように表では真面目に運営しつつ裏では犯罪に手を染めている組織で、残り半分は活動実態の有無に関わらず控除目的の寄付辺り、そこに隠し味程度に、調査しようものなら生死に関わる組織と、趣味で目を掛けているグループが少々と見ているが、果たしてどうか。
運営内容や割合がどれだけ予想とかけ離れようとも、その程度でブラック家の面々とは心が離れるような関係ではないのだが、クリーチャーには私が正義感溢れる美しい心の持ち主にでも見えるのだろう。そうであって欲しいという、ただの綺麗な願望かもしれないが。
ともあれ、彼の提案に二つ返事で応じた以上、この話題は後日に回し、この時点で中断してしまおう。余程の悪手を連発しなければ生死にも進退にも関わる事でもないので特別急ぐ必要はないし、もしかしたら、何かの間違いと誰かの手違いと運命の悪戯が重なりフラメル夫妻にゴブレットを返却出来る日が来るかもしれない。たとえそのような事態に陥ろうとも、返却前に用途を決めさせられる可能性が高いと理解している、それでも希望は捨てるべきではない。
「では、お約束どおりサングィニ様を紹介させていただきます」
「よろしくお願いします」
検閲する機会を得た事で露骨に足取りを軽くしたクリーチャーがそれはもう愛くるしかったので、是非この姿をレギュラス・ブラックに知らせたいと顔を上げたその先に、蕩けるような笑顔の当人が居たので強力なアイコンタクトを取る。今の彼にならば、サングラス越しでも私の気持ちが伝わるに決まっているという確信があった。
因みに、彼と共に居るサングィニは私達の話の内容を知ってか知らずか満足そうで、ロザリンド・バングズはちょっと理解出来ない価値観だと表情で語っていた。此処にジョイス・ロックハートも揃えば完璧だったのだが、生憎彼女は呼び出しから帰って来ていない。もしかしたら、先程逃したマリウス・ブラックに捕まっているのかもしれない。
居ないものは仕方がないと、案内されるがままその一団へ近付くと、クリーチャーが紹介を始める前にレギュラス・ブラックが口を開いた。
「彼女の所へ真っ先に来ると思ったのに、随分寄り道してきたね」
「キャップのプレゼントが大変だったんです」
当たり前のように表情と口調に焦りが一切見られないので、アサルトライフルは彼にも事前申告されていたのだろう。ならば、もう少しだけ私の価値観を考慮して、銃火器よりも不動産と純金の方がストレスになると推理して欲しかった。そして出来る事ならば、桁違いに高価なプレゼントは困らせるだけだと大叔父を説得するまで行って欲しかった。
結局逃亡を許して大変なプレゼントは返却出来なかったようだけれどと楽しげに笑うロザリンド・バングズを見て、誕生日会から子供を弄って遊ぶ会と会場名を変更するべきだという脳内から出た主張をぐっと堪える。その隙を突いて、サングィニが実に多様性溢れる台詞を至極真面目な顔で投下した。
「大変な贈答品、人間の死体だろうか」
「そちらの方がずっと気が楽ですよ。キャップを縛って尻を蹴り上げてから警察に突き出せば処理出来る案件になりますから」
「成程、道理だ」
老体の尻を問答無用で蹴り上げる事も含めて納得したような吸血鬼の肩を、爪を紅に塗った褐色の手が力強く叩く。更に後ろの灰色の瞳は何故か不快そうな色を宿していた。
「道理だ、ではないだろう。サングィニ、君のジョークは耳に悪い」
「しかし、私は子供受けが悪いから冗談の一つでも口にして場を和ませろとけしかけたのは貴姉ではないか、ロザリンド君」
「その内容が予想外に酷いと言っているんだ。冷静に受け答えするも相当だが、見てみろ、君より常識人のクリーチャーが頭を抱えて呻いているじゃないか」
折角反社会的な話題から強引に連れ出したというのに間髪入れずに血腥いジョークが飛び出したからなのか、ロザリンド・バングズが指し示すように比喩ではなく頭を抱え、胃痛から来る呪詛を小声で吐き出していた。
流石に可哀想になったのでどうしようかとレギュラス・ブラックを眺める。既に剣呑さは鳴りを潜め悪戯っぽい笑顔を浮かべていた彼は、その笑顔に違わない口調で言い放った。
「心を込めて抱き締めてあげれば静かになるよ」
諸々を考え合わせて過去のクリーチャーの反応を考える限り正解とは真逆の選択肢を提示されたような気がするが、他に妙案も浮かばないので両腕を広げると、その時点で勢いよく顔を上げサングィニの背後まで全速力で逃げられた。
「レジー、今日はエイプリルフールでしたっけ」
「うん? 僕とお祖父様がこの世界で誰よりも可愛がって大切に思っているの誕生日だと思ったけど、違ったかな」
そのような言葉と共に背中から腕を回され、私の腕から逃れたクリーチャーの代わりとばかりに抱き締められ、頬擦りまで追加された。
レギュラス・ブラックはどちらかというとスキンシップを好む人間だからと納得しようとした視界の端で、クリーチャーがサングィニのネクタイを引っ張り何事かを叱責する姿を捉える。話の詳細までは理解出来なかったものの、幼い頃、死体、傷付ける、と読唇術で拾い上げた単語からこの主従の目的を知り、何も知らないふりを選んだ。
幼い頃に死体を見た記憶を思い出さないよう配慮したのか、通報をして私の命を救ったリチャードの記憶に触れないよう警戒したのか、どちらだとしても、それは知るべきではない事だろう。直前まで浮かべていたレギュラス・ブラックの表情も含めて、ここは素直に騙されるべき場面だ。
「そうですね、確かに今日は嘘を吐いても咎められない日ではなく、海軍が兵士に対してラム酒の支給を打ち切った日でした」
「いや、知らないよ。なんではそんな微妙な記念日……記念日なのかなこれ、事件を選んだのかな」
「という事なので、ローザ。とても素敵に梱包していただいたクリンコフは後回しにして、メープルウォーターありがとうございます。シロップはよく見ますが煮詰める前の物は初めてなので、とても嬉しいです」
いつも通りの話を聞かない子供の顔で好き勝手に振る舞うと、真っ白な手の平がそれが正解だとでも言うように背後から力強く頭を撫でて来た。澄んだ茶色の瞳がとんだ茶番だと呆れているようにも見えたが、茶番なりの理由を把握しているのか責めるような空気は纏っておらず、こちらの不器用な話題転換にも乗ってくれる。
「仕事でカナダに行ったからな」
「お仕事。ああ、もしかしてフラメル夫妻はカナダに?」
「まさか。彼等は要人だ、ただの護衛対象に過ぎない君相手に情報漏洩に繋がりかねないヒントなど絶対に口にしない」
「ですよね」
「だが、今回はブラック家の要請で敢えて判るよう難易度を下げている」
「面白い冗談です」
「そう。冗談で、精度の低い嘘だ。あのパッケージの中のメープルウォーターはメープルシロップと入れ替えさせて貰った」
「まさか、そこからですか。それとレジーは腕の力を少し緩めていただけると」
「ああ、もう、誰にでも簡単に弄られてくれる素直ながこれ以上ないくらい可愛い。毎晩甘やかして溶かして僕に溺れさせたい、毎朝抱き締めて愛でて僕が癒やされたい」
「いえ、今の私の発言は無視してください。そのまま気が済むまでどうぞ」
レギュラス・ブラックの口、と表現するより全身から溢れた妄言はアルコールが入っているからではなく、仕事による過度なストレスが原因に違いない。若くして責任ある立場に就かざるを得なかったこの子のささやかな喜びが何でもないスキンシップならば、私は諸手を挙げて受け入れよう。
この子やアークタルス・ブラックから愛玩動物代わりにされるのは、それこそ今更過ぎるというのも、勿論ある。
「それで、ローザ。実際はどこからが嘘なんですか」
「この世界はね、君が真実だと思えば全てが真実になるんだよ」
「格好よく聞こえるだけで中身が一切ない言葉で誤魔化していますけれど、説明が面倒だから自分で調べろという事ですね」
「そうだな」
彼女がそのような冗談を言い私を振り回すとは思わなかったので思わず笑みを零すと笑い返され、その後に視線が移動して、せめてこの程度は出来るよう努力が必要だと柔らかい説教が投げられた。
背後に居るのは確認するまでもなく、冗談が駄目出しされ3人がかりで流れを誤魔化されたサングィニである。
その彼の瞳に、反省の色はない。
「これ程までに親近感を覚えた人間は初めてだ。驚嘆に値する」
「ええ、そうでしょうとも。御二方はよく似ておいでです」
「そうなんですか、クリーチャー」
「坊ちゃんの方が頑固で、サングィニ様の方が生真面目に御座いますが」
行ったばかりの説教が無駄だったと早々に証明され、全てを諦めた表情のクリーチャーはどこからともなくチーズを出現させると、皿の浮遊させて私達に振る舞い始めた。たとえ目が死んでも職務は熟すハウスエルフの鏡である。
もう一度腕を広げてハグを求めようものなら無言で会場を去り裏方で生き生きと働き出しそうなクリーチャーに同情はするものの、それ以上の事は何もしない。というよりも、私が小賢しく暗躍しても悪化する道しか存在しないので出来る事がない。
ひとまず、やらなければならない事を済ませよう。
「サングィニ様」
「何かな」
「プレゼントありがとうございました。早速挑戦してみたいと思います」
「挑戦か。随分と物騒な単語が出たようだが、君はこの子に一体何をくれてやったんだ」
「魔法生物の肉を使ったレシピだ、危険な物ではないはずなのだが」
「冗談を言わない場合は、このような実直な男だ」
「ああ、確かに私よりもずっと生真面目な方ですね」
真剣な表情で何が問題だったかを考える姿をロザリンド・バングズから示され、思わず納得と共感をする。妙な捻りもなく裏を読む必要もない彼との交流や会話は気楽そうだ、周囲の迷惑を顧みないでいいのならば。
その未来を予測してか、単純に自身へ意識が向かない事を怒ってなのか、それとも会話に入りたいだけなのか、レギュラス・ブラックは何処から食材を調達してくるのかと、餌付けの如く私にチーズを食べさせながら質問をする。
「ドラゴンともなると大仕事だが、イギリスでもノグテイルくらいならば誰でも狩っているだろう?」
「サングィニ、それは字義通り狩っているだけだ、スポーツや害獣として殺処分しているだけ。幾ら豚に似ていても、まず食卓には登らない」
「それは本当かね、レギュラス君。なんという資源の無駄、ミードで煮込んたノグテイルのゴロンカは絶品だというのに」
「ゴロンカ?」
灰色と茶色の視線がそれぞれクリーチャーと私に注がれ、それは一体どのような料理だと無言の質問が交差した。
「ポーランドの豚足料理に御座います」
「豚のスネ肉を煮込んだりローストした物の総称ですね」
アイスバインやシュバイネハクセのポーランド版だが、そこは正直どうでもいい。
ノグテイルは体こそ子豚大だが、足は鹿のように長い。それで動きが俊敏だというのならば、間違いなく脚肉は余計な脂肪が付いておらず引き締まり美味だろう。ルドルフ君が狩って来た事がないので残念ながら屋敷の周囲には生息していないが、マリウス・ブラックならば狩りに行った事はなくとも生息地域くらいは知っているかもしれない。
「目が輝いているな。豚肉よりも獣臭が強いので塩と酒は惜しまず使った方が美味になる、スパイスやハーブを使うのも当然いいだろう」
「サングィニ様は植物性の食事が得意ではないと伺っておりましたが、スパイスやハーブが判る程の食事も平気なのですか。一応食べられはするけれど、栄養素は取り込めないと」
「多少、体調に影響する程度の話に過ぎない。けれど、今日此処に並ぶ私を気遣っての料理は貴兄とマリウス君に心から感謝している」
「それはお客様をおもてなしする立場として当然の事なので。あの、不躾な質問かもしれませんが、サングィニ様は何処までの食材を食べられるのですか」
「うむ、実は、可食という点のみならば大抵の物は食べられるのだ」
植物由来の食品は腹を下すだけで毒ではなくスパイスも少量ならば平気だと告白している最中、クリーチャーが胡乱な目で美しい顔を見上げた。
「痩せ我慢なさらないでください。以前ボッグヴルストが原因で胃痛と腹痛に苦しみ涙目になっていたのは何処の何方でしたか? 塩は平気なのですから我慢なさってください、今日のメニューにしても坊ちゃんが苦心なさって作られた物なのですからそのような」
「貴兄は相変わらずの説教魔だな。言っただろう、耐性がないだけであり毒ではない」
「一般常識として、体に害がある時点で毒と呼ばれるのです」
「口論はそこまでだ。クリーチャー、君も中々頑固者だな」
チーズを受け取る代わりにノンアルコールの飲み物を頑固なハウスエルフに手渡したロザリンド・バングズは、ノグテイルのスネ肉は一体何処でお目に掛かれるのかと私が入っていける話題まで半歩程戻り軌道修正を行う。
途端に、今がどのような場所と時間だったのかクリーチャーも思い出したのか申し訳なさそうに上目遣いをされた。本当に可愛らしい。これはもうあらん限りの愛情を込めて抱き締めろという合図で間違いない。尤も、私の邪な試みはレギュラス・ブラックの強力なハグ続行により阻止されてしまったが。
「何処と言われても、吸血鬼の社会内なのだが」
「では通常の手段では無理だな。個人輸入か、或いは」
「そこで僕を見られても。存在するだけで畜産物を呪う魔法生物なんて量産以前に販売目的で絶対に飼育出来ないから」
「まあ、その通りだ。そもそも魔法界自体が魔法生物を食料と見る事に懐疑的だからな、利益など出ないだろう。フィフィ・フィズビーにビリーウィグの粉末が使われていると知っただけで二度と口にしないと拒絶する子供もいるくらいだ」
「それはマグルと呼ばれる人種が文化の差異を受け入れられずに拒絶しているのかね?」
「いや、経験から言うと純血や魔法界出生者でも相当な数に登る」
「薬ならば口にするのにか。人間は理解し難いな」
「あまり質問されても碌な返答は出来ないが、人間と一つに括るのは止めてくれ」
「確かに、貴姉の言う通り失礼な発言だった。謝罪させていただく」
「謝罪は必要ない、反省だけで十分だ。しかし、自分の中にない嫌悪感を想像して解説するのは不可能だな、も私側だろうから。レギュラスの方がまだ拒絶側に近いだろう」
食べられる物は何でも食べるとするロザリンド・バングズはこれ以上の問答は不可能とレギュラス・ブラックへ後を頼んだが、頼まれた方は突き詰めてしまえば好き嫌いという感情的な問題という名の我儘に過ぎないと身も蓋もない結論を述べる。
「嫌いな物は嫌いだし、食べたくない物は食べたくない。ビジネス以外ではね」
「利益と感情ならば利益を取るか」
「それが僕の仕事の一部だ」
成程、確かに彼は私と似ているが微妙に違う感性の持ち主だ。
折角逸していた仕事のストレスをここに来て再度背負い込んだレギュラス・ブラックの袖を指先で軽く摘み興味を向けさせる。茶色の瞳が犬の演技も四六時中となると大変そうだと語った気がするが、本当に大変なのはレギュラス・ブラックだけだろう。私はただ甘やかされているだけだ。
「はロザリンドより食の冒険が好きだよね」
「冒険? 貴兄は毒に怯えているはずではないのかね」
顔をほころばせ、甘ったるい声で仕事から話題を逸したレギュラス・ブラックにサングィニが乗せられる。まるで先程マリウス・ブラックを取り逃がした私を見ているようだが、その辺りは無視して流れに乗るべきだ。
「何が、よりも、誰が、の優先順位が高いだけです」
料理そのものに問題があるのではなく、誰に与えられるのかだけが問題なのだと告げると素直な彼は即納得したように頷き、しばらく何かを考えた後に頭を撫でて来た。
「私の持って来た肉は気に入ってくれたかね」
「ええ、勿論。特に天馬のお肉が美味しかったです」
「吸血鬼という種族以外のほぼ全てを嘘に塗り固められた私が持って来た物でも、それでも貴兄はそう言えるのかな?」
冷たい平常心を装ったような台詞に一瞬だけ虚をつかれ、次いで失笑してしまう。きっと彼は私よりも年長の老人だろうが、よくもこんな可愛らしい吸血鬼が居たものだ。
彼の居住地はトランシルバニア。彼から贈られた物は魔法生物の料理本と、もう1つ。トランシルバニア伝統の刺繍と知られるイーラーショシュのブックカバー。これで嘘を塗り固めるとは本当に面白い事を言う。黙っていれば様々な可能性から勝手に混乱するので放置しておけばいいのに、態々発言してしまっては嘘も誤魔化しもないだろう。
寧ろ、今の彼は自身を偽っている罪悪感で一杯になり、どうにかして気付いて貰おうと必死に自己開示しているようにしか思えない。
それとも、本人は全くアピールするつもりはなく、誰かにプレゼント内容を入れ知恵されたのだろうか。たとえば、遠くの方で優雅に腰掛けながら美しく笑い、視線を私に向けているブラック家の前当主様だとか。
今私を抱いている現当主様はどうだろうか、話題をこちらに誘導した形跡があるので加担したと見なした方が良さそうだ。
「サングィニ様は、本当に生真面目な方ですねえ」
彼等の手で同じように踊らされている身の上だが、まあ、同情する必要はないだろう。
私達は割とどうしようもない馬鹿ではあるが、それでもただの馬鹿に過ぎず、真っ赤に焼けた鉄の靴を履かされる立場ではないのだから。