ムール貝の一口グラタン
義眼の機能を起動させ浮かび上がる数字を読み取ると、現在は気温15.2℃、湿度79.1%だと判明したが、体感ではそれよりも低く湿っぽい。
しかしエイゼルの足元で元気に歩いているルドルフ君と、マリウス・ブラックと共に静かに先導するフィリッパさんを観察するに、犬には割と快適と感じられる環境なのだろう。いざとなれば人間様は服装を変えればいいのだ、瞬時に毛皮の交換が出来ない彼等が過ごしやすいのならば、それに越した事はない。
「賑やかだね」
「そうですね」
メルヴィッドの言葉通り、夏期恒例の国際フェスティバル開幕を控えた街は浮足立っていて、すれ違う人々の表情は天候に反比例するように明るかった。以前、エイゼルに語った事があるが、私はこの手の期待と興奮と少しの不安が入り混じり、高まって行く祭りの前の時間が楽しくて堪らない。
今日は金曜日ではなく火曜日の夜で、私自身は胃が痛くなるようなイベントが控えているのだが、細かい事は考えず逃避する方向に決めた。やれるだけの事はやったのだ、後は野となれ山となれ、だ。
エディンバラで最も美味いシーフード・レストランに連れて行ってやるというマリウス・ブラックに案内されるがまま人混みを抜け、メルヴィッドと手を繋いだ状態で暗く細くひっそりとした裏路地に入り、小さな水溜りを飛び越え、石段を登りながら子供のように周囲を見渡す。
どの建物も年季が入っており格調高く立派だが、押しなべて黒く汚れていたので高圧洗浄機で一掃してみたい気分になった。類似魔法のアグアメンティでも構わないのだが、私の場合は火力不足から幾らもしない内に力尽きてしまうので正直使えない。メルヴィッドかエイゼルならば、水流速度が50m/sからマッハ3まで幅広く、しかも長時間連続運転でも片手間で調整出来そうだが。
ルーモス・マキシマのレーザービームと、アグアメンティ・マキシマのウォータージェットではどちらが勝るか考えたが、置かれた状況と使用者の火力と戦術を組み立てる頭脳次第だと身も蓋もない結論に達して狭い空を仰ぎ、メルヴィッドと繋いでいる手と逆方向に視線を下ろす。
営業時間を過ぎた雑貨屋のガラスに映ったサングラスの少年はポリエステルとナイロンを混紡したジャケットを羽織りノーネクタイのカジュアルな装いをしていて、堅苦しさは微塵も感じられない。顔面偏差値の差は計り知れないが周囲の大人達も似たような軽装で、これから行くレストランが肩肘張らずに過ごせる場所だと暗示していた。
尤も、会話の内容まで緩くなるとは到底考えられないけれど。否、だから今は考えるのは止めようと決めたばかりではないか。
「着いたぞ、野郎共」
階段の踊り場で立ち止まり、4人の中では最もラフな格好をしていたマリウス・ブラックが親指を立て、謎のパブ・サインを示した。
ラファエル前派の作品に似せて描かれた派手に着飾った女王のモデルはエリザベス1世だと思うのだが、何故かその下にはジョン・マナーズと金文字で人名が書かれており、創業年が1591年と追記されている。更にマリウス・ブラックが本当の店名はホワイト・ホースだと口頭で発表したので深く考えるのを止めた。
きっと荒唐無稽な状態を楽しむ為のパブ・サインなのだろう。
この手のジョークは内容を理解出来ても面白さを理解しかねるが、それを表情に出してもマリウス・ブラックが気を悪くした様子は見られない。寧ろ、彼自身もこのジョークを洗練されていないものに分類しているような態度だった。
「店は地元客で賑わってて料理も酒も美味い、最悪なのはオーナーシェフ達の美術的センスだけなら御の字さ。そうだろう?」
扉を開け中に通されると、一瞬でマリウス・ブラックの言葉を芯まで理解する。
決して小汚い訳ではないのだが、統一感が皆無のポスターが所狭しと貼られており、僅かに壁紙が見えるスペースもほぼ酒瓶で埋まるといった有様だった。
とはいえ、店自体は大変活気付いていて客は皆笑顔である。笑顔の内、8割程が酔っ払いのものだが、笑顔である事には変わらない。
「ザ・マッカラン50年に、ケイデンヘッドのキンクレイス24OLDじゃないか」
店の内装よりも気になる箇所があったのか、酒瓶の中からエイゼルが何かを発見して口笛を吹く。目線からはスコッチウイスキーとしか判らないのでメルヴィッドを見上げてどれの事を指しているのかと無言で問いかけてみたが、私と同じく飲酒に対して料理程興味がない彼はきっと珍しい酒なのだろうと肩を竦めるだけだった。
「目が高いな。だが、あれはとっくの昔に最後の一滴まで飲み干されたよ、俺もご相伴にあずかりたかったが当時はロンドンに居たからな……まあ、俺の昔の愚痴はどうでもいいな。エイゼルはスコッチみたいな癖と度数が強い酒が好みか?」
「サイダーからスピリッツまで、美味しければ何でも」
「ほお、メルヴィッドはどうだ」
「特に強い拘りは。食事に合えば言う事はありません」
「は?」
「この流れで私に振りますか、キャップ」
「この流れだから訊くんだよ。どうせ自宅でしこたま飲んでんだろ、優等生ぶってないで正直に吐け」
そんな事をこのような公の場で暴露していいのかと背中に冷や汗が流れたが、よく考えてみるとイギリスの飲酒に関する法は日本のそれよりも複雑で緩い事を思い出した。
購入と飲酒は日本と同様に成人してからだが、例外的に保護者が同伴している場合は16歳以上ならばパブでビールやサイダーを飲む許可がされている。更に家庭内ならば、親の同意さえあれば5歳から飲酒が合法となる国、それがイギリスである。
以前、書類上は未成年であったメルヴィッドに飲酒は違法だが責めるのは野暮だと口に出したが、後見人の老教授から許可を得ていたのだから完全に合法だと今更気付く。だから何という訳でもないのだが。
「カクテル以外なら、醸造酒から蒸留酒まで。果実酒やリキュールも飲みます」
「意外だな。混ぜものは駄目なのか」
「いえ、経験不足なので。名前や材料では味の想像が難しくて」
「要お勉強ってか、成程ねえ」
スピリッツを炭酸で割るだけのジン・トニックやモスコミュールならば想像できるが、複数のスピリッツやリキュールやジュースがシェイカーの中で複雑に混じり合ったカクテルは色も味もアルコール度数も判らない。
それでもカクテル単体であれば飲む事が出来るのだが、飲料物があるのなら当然何か胃に入れなければと本能が訴え、結局食事が優先され、完成した料理に合った飲み物に変更という本末転倒な事態になるまでがお約束だった。
「忍耐力が欠けているんです」
「腹を満たす方が先ってだけだろ。ま、10代のお子様はそんなもんか」
下戸でもない100歳の爺でも食欲優先なのだとも言えず、店員と二言三言交わしたマリウス・ブラックに先導されるまま階段を登っていると、途中に掲示された大判の古いポスターに印刷された女性にウインクされた。
それを合図にして空間が溶けるように歪み、少人数用のパーティルームのような部屋に転移させられる。内装は先程までの店内と変わらず色彩感覚や配置が壊滅しているが、喧騒は酷く遠い。
どうやら、この店のオーナーシェフはスクイブではなく魔法使いらしいと一人頷いていると、思考を読まれたのか、リバーサイド出身の魔女姉妹だと細かい訂正をしてくれた。ホグワーツではなくリバーサイドならば身内のようなもので、外部への情報漏洩の危険もないから確かに安心出来る。
ルドルフ君とフィリッパさんのリードを外すと誰に命令される訳でもなくテーブルの下に潜り込み、それぞれ楽な態勢で休息を取り始める。主人に万が一の事があった場合に備え、反射的に体を動かせるよう陣取る貫禄のフィリッパさんに対し、幼いルドルフ君は完全に気を抜いて寝そべっている所に性格の違いが現れていて微笑ましかった。
「おっと、忘れてた。メルヴィッド、エイゼル、会食始まる前にこれ飲んでくれ」
力強く指を弾いたマリウス・ブラックが取り出したのは2本の水薬。間違いなく魔法界産のそれに全員がスカーピンの暴露呪文を即座に展開し、成分を同定すると名指しされた2人の眉が潜められる。
「性転換の薬ですか」
何故このような薬が必要なのか理解出来ないと言葉にせず表情で問いかけると、白い眉が跳ね上がった。彼は私の思考こそ理解出来ないとでも言うように両肩に手を置き、物分りが悪い子供を諭すような深い声色で、いいかよく聞け新米と言い、真剣な表情を作る。
「今日の会食に来るのは俺達以外だと、螺旋状性根持ちの従兄様とロザリーの旦那だ」
「ロザリー?」
「ああ、これじゃ通じないか。カーネル・”ケンタッキー”・ファブスター校長様だよ。ロザリーは明日来るからその時紹介してやる」
「デイヴ、ファブスター校長は決して名誉大佐では」
「オーケー、メルヴィッド。今日はシーフード中心だからチキンは重要じゃない。その場の空気を正しく読んでフォース湾に流せ」
「カーネル・サンダースって名前だけ聞くとアメコミのヒーローみたいだよね」
「所属はDC? それともMARVEL?」
「ケンタッキー・フライド・ジャスティス」
「成程。ありがとう、。DCだね」
「エイゼル、メルヴィッド、、もう一度メルヴィッド。拾うな。黙れ。笑顔で愉快なハイタッチしてんじゃねえよ馬鹿野郎共」
ユーリアンを相手にするように駄目な大人3人で話を混ぜっ返し互いに手を打ち鳴らしていると、マリウス・ブラックが表情をこれでもかというくらいに歪めて小瓶を見せ付けるように揺する。
水と油のように分離した派手な赤と青の液体が綺麗だとは思ったが、とても美味しそうとも思えないし、飲みたいとも感じない。
「いいか、ボーイズ。俺が懸念しているのは、この狭い空間がむさ苦しい野郎のみで満たされるって事だ」
「拡張呪文が必要なら私が対応しますが」
「なあ、勘弁しろよ。部屋が広けりゃいいって話じゃないのは判るだろ?」
「デイヴ、そこに居るブラッドハウンドのフィリッパは雌ですよね」
「論点は正しいが犬は女性に含まねえよ」
「お留守番しているギモーヴさんを連れてこればよかったですね」
「言っとくが猫も含まねえぞ」
「蛙ですよ?」
「哺乳類ですらないのかよ!? 両生類なんぞ論外だ!」
「そうか、彼女は不参加なんだね。残念だ」
誰もマリウス・ブラックの命令など聞かずボケ倒しながら女体化を拒絶していると、部屋の隅から穏やかな声が発せられて反射的に顔が上がった。
「アークタルス様!」
「久し振りだね、」
「はい、お久し振りです」
いつの間にか部屋に現れていたアークタルス・ブラックが軽く腕を広げて見せたので小走りで駆け寄りハグをする。タートルネックにツイードジャケットとラフな格好をした彼の隣には、ミリタリージャケットを羽織ったファブスター校長が柔らかい笑みを浮かべて私を見下ろしていた。
ホテルで初めて見た時は軍人らしく毅然とした雰囲気を纏っていたが、今日は前髪が下ろされているからか威圧感は感じられず、若く見える。背筋を伸ばし顎を引いた姿勢は変わらないが、普段から心掛けているというよりも彼の癖なのだろう。
アークタルス・ブラックとのハグを終えるとファブスター校長が両腕を外に開いたので、こちらも遠慮せずハグをする。マリウス・ブラックが背後で俺にはしてくれなかったのにと文句を垂れているが、彼が手を差し出して来た時にはちゃんと握手をしたと返すと、ああそういう感じなのかと納得された。
「お久し振りです、と言うべきなんでしょうか。ファブスター校長、いえ、大佐とお呼びした方が宜しいのでしょうか」
「きちんとした挨拶は今日が最初だ。初めまして、にしておこう。今はオフだから大佐か、何なら敬称などなくても構いはしないよ」
「国に奉仕してくださった方に礼を欠く訳には参りません」
「、それを大伯父様の前でも言ってみろ」
海兵隊大尉としてPTSDを抱えるまで戦ったマリウス・ブラックの言葉にはたと気付き、確かにそれはいけない事だとハグを止めて背筋を伸ばし、態度を改めた。
「……それもそうですね。失礼いたしました、ブラック大尉」
「俺が悪かった。冗談だから怖気が走る態度は止めろ、今まで通りでいい。アークタルス、こいつマイペースな癖に周囲に引っ張られ過ぎだ、おまけに素直で扱いづらい。何でブラック家の血からこんなのが出来上がるんだよ」
「可愛らしいだろう?」
「ああ、はいはい。そうですね」
テーブル下で休憩していたルドルフ君を呼びファブスター校長に紹介している隣で従兄弟同士が何か言っているが、無視しても構わない内容のようだ。
白黒の毛に覆われた頬を撫でながら、今は敬語も必要ないから楽にするようにと苦笑するファブスター校長に曖昧に微笑んでおく。
ふと、視線を感じたのでそちらの方向に顔を向けると、エイゼルが怪訝そうな表情を隠しもせずに私に向けていたので、ブラック家側の人間との交流方法がまずかったかと思いその場から離れ、今度は彼の隣に立った。思考と所作が完全に犬か幼児のそれだが、昼間の事もあるだろうから不自然には映らないだろう。
「エイゼル、怒っていますか?」
「いや、が誰かに好かれるのは私も嬉しいから、それについては怒っていない。ただ、彼がね」
黒い瞳の先に居るのはアークタルス・ブラックだった。
また開心術の類でもかけたのだろうかと首を傾げたが、以前とは怒りの度合いが異なるように見える。今、エイゼルが表に出している感情は、怒りよりも不審の割合が多い。
「アークタルス様、貴方はギモーヴの存在を知っていたのですね」
「今年の始めに、が紹介してくれたからね。それがどうかしたのかな」
「別に? メルヴィッドが手出ししなかった理由も考えず実験して、今頃になって踊らされていた馬鹿な男の存在に気付いただけです」
「選択肢は他にもあるから、音楽と手足を止めて貰っても私は構いはしないよ。何もしない事で利益になりそうだったから、何もしなかっただけだ。それでが癒やされるのなら素晴らしい発見に繋がる、しかし、癒やされなくともこの子は現状に利益を見出している。君の事も私の事も、誰も責めはしないよ」
「ええ、そうでしょうね……特には、そうに決まっている」
あまりに抽象的過ぎて2人が何を言っているのか判らないが、メルヴィッドは内容を全て理解しているらしい。表情を観察すると、マリウス・ブラックとファブスター校長は私の側のようなので、魔法使い的な何かに関する会話なのだろうか。
私の困惑を感じ取ったのかルドルフ君がファブスター校長から離れ、ふすふすと鼻を鳴らしながらやって来た。自分が落ち着く為に彼を撫でると、エイゼルに大きな溜息を吐かれたのだが、矢張り理由が判らず首を傾げる。
「は錬金術に興味がない子なんだな、って話だよ」
「ええ、まあ、毛の先程もありませんが」
錬金術と今の話が繋がっているらしいのだが、判らないものは判らない。
ルドルフ君の耳の後ろを掻きながらメルヴィッドを見上げると、そう言えばあの時から興味を示さない兆候はあったと苦笑された。
「あの時?」
「レギュラスと初めて会った時に、差し出されたロケットを見て、感じた事は?」
「単純に、綺麗だなとだけ」
「じゃあ、今は?」
「ロケットは燃やしてしまったので何時か正式な遺品であるサラザール・スリザリンの本が見付かればいいな、出来れば分霊箱になっていない状態で、と」
以前メルヴィッドから教えられた情報だが、昼間読んだ調査資料にも書かれていた事を挙げつつ、錬金術には全く掠っていない感想を述べると、メルヴィッドは教師のような表情を作り、光を帯びた杖先でホロスコープによく似た図形を2つ描く。
1つは木星のホロスコープに似た記号、もう1つはネジ巻きによく似た記号だった。
「今は時間がないから2つだけ。例えば、こっちの木星記号に縦線を1本足した記号、これはロケットの左下にあったものだけど、錬金術では鋼を意味している。もう片方は右下に描かれた記号で、意味は硫黄」
「成程、ホロスコープではなかったんですね」
「ぱっと見は似ているけどね。b、p、d、qのアルファベットくらい意味が違うよ」
それは、全く別物だと言って差し支えないだろう。
したり顔でホロスコープと口にした過去の自分を殴りに行きたくなったが、既にヘルガ・ハッフルパフのカップの件でボロ布のようになった精神が灰になり風に乗って吹き飛びそうなので、自責は明日、屋敷に帰宅してからにしよう。
しかし、多分、錬金術にも惑星は関係していたはずなので、記号の出現時期はほぼ同時期だろうと何の慰めにもならない考えで精神を立て直した。
「ありがとうございます、メルヴィッド。この手の事が判らないと、エイゼルとアークタルス様の会話も理解出来ないという事だけは、判りました」
「今度、初心者向けの本を読もうね」
「はい」
頷きたくないが、話の流れとしては素直に頷くしか選択肢がない。
爺の脳には厳しい宿題が次から次に溜まって行くが、多分まだ処理可能な範囲内だろう。メルヴィッドは錬金術のエキスパートになれと言っている訳ではなく、基本だけは押さえろと言っているだけだ。
取り敢えず、挨拶もそこそこに済ませたので始めようと気を取り直したマリウス・ブラックが告げ、各々が食卓に着くと大皿やバケツに盛られた海の幸とアルコールのメニューが無人で運び込まれた。
未だ諦めていなかったのか、性懲りもなく先程の薬をメルヴィッドとエイゼルに手渡そうとする右隣の彼を止め、誕生日前夜祭にお集まりいただきという私が発した退屈な前口上が左隣のファブスター校長から止められる。
正面にはアークタルス・ブラック、右斜め前にメルヴィッドで、左斜め前はエイゼルという誤魔化しの効かない人員配置は私の心に優しくないのだが、今更マリウス・ブラックに席を変えてくれとも言い辛い。
頑張ってこの時間を乗り切るしかないと及び腰の精神論に縋っている時点で既に負けが確定しているのだが、逃亡が許されない以上は立ち向かうしか方法がなかった。
初っ端からモルト・ウイスキーをボトルで注文する酒豪のファブスター校長とエイゼルは無視して、マリウス・ブラックお薦めのシーフードに合うというスコティッシュエールを注文する。メルヴィッドとアークタルス・ブラックは無難に白ワインにするようだ。
程なくして赤銅色の液体に満たされたグラスが届き、各々が右手を軽く掲げて乾杯する。
ああ、しかし胃が痛い。彼等にとっては前哨戦の会食であり、私にとっての本戦という名の答え合わせの時間が、とうとう始まってしまった。