髪の長い女
園の入り口の前で集合している、普段着のホグワーツの生徒たちを眺め、自分は何故ここにいるのだろうかと自身に問う。名簿に名前を登録した覚えなのないスリザリン生のセブルス・スネイプは相変わらず眉間に皺を寄せていた。
思えばあの日、他称ホグワーツの女帝ことリリー・エバンズが何故か自室まで乗り込んできて(本気で謎だった)自分の代わりに遊園地に行けと脅してきた(リリー本人はこの行為を説得だと言い張っている)。
なんでもも巻き込まれたらしいので、同情も兼ねてここまで来たスネイプだったが、あの天敵たちと行動を共にしなければいけないと思うと、心の底から嫌だった。あと、別にリリーの脅しに屈したとかではない、と本人は言い張る。
「大体奴等は何処にいるんだ……」
「ここだ」
後ろの方から聞き慣れた声がした。
スネイプは、振り向き、硬直した。
目の前にいたのは、可愛らしい、長い黒髪の少女、のはず。
「……すまないが名前を言ってくれないか? 人違いじゃないか?」
「・。お前もよく知っている人間だと思ったのだが?」
「その格好はどうした」
「エバンズに見繕われた」
黒とオフホワイトのキャミソール。
黒いフリルのチョーカーにシルバーのクロス。
漆黒の生地に銀糸でクロスが刺繍されたミニスカート。
ボリュームの多い白のパニエ。
白のハイソックスにヒールの高い黒のシューズ。
一歩間違えれば「アナタイッタイドコイクキデスカ」と真剣に尋ねたくなるような女装姿では目の前にいた。
以前リリーにセーラー服を着せられても早々に諦めたである、こんな格好は今更なのかもしれない。
「……だけか?」
ちょっと嫌な記憶が蘇り、しかしそれに敢えて深くは触れようとせず、スネイプは目の前の少女のような少年の格好を綺麗に流した。
「ああ。別々に来たからな」
「そうか」
しかし、この二人は目立った。
というより一人がやたら目立っている。
普段着という事でスネイプも黙って立っていればいい男の部類に入るとはいえ、隣で普段の表情のまま佇んでいるに比べれば、その目立ち度など微々たる物だ。
「あれ? セブルス、君もいたの?」
「おい、リーマス。それよりを……って、なんだスネイプ。女連れか?」
が居ない所為だろうか、群がる女子を掻き分けながらやってきてスネイプを発見したリーマスとシリウスに二人は青筋を浮かべて「誰のせいで苦労してると思ってるんだこの畜生共」とか心の中で罵った。
というかスネイプはおもいっきり口に出した。
「君に彼女がいるなんて知らな……?」
「が居たのか、リーマ……え?!」
「良い反応だ、お前等此処で揃って死ね」
言葉を失った二人に、ニッコリとキレた笑みを浮かべているに犬と狼が顔を見合わせる。
触らぬに祟りなし。
を敵に回してしまえば、それ即ちリリーを敵に回すと同じ。いや、キレた単体でも十分すぎるほど怖いのだが。
「うわー、可愛いね。これ見繕ったのリリーだよね? 感謝しなきゃ」
「というか、、似合い過ぎ……」
「シリウス、鼻血噴かないでね?」
端から見ればいい男三人組に囲まれた少女の図は一人よりも目立つが、やはりはまったく気にしていない様子で服装に見合ったバッグ(きっとこれもリリーが見繕ったのだろう)から一通の手紙を出した。
差出人はリリー・エバンズ。
宛名はシリウス、リーマス、スネイプの三人。
とっても嫌な予感がしないでもない三人だった。
のボディーガード共へ
私の代わりに(かなり不安だけど)セブルスに頼んだから。
マクゴナガル先生も許可してくれたし、シリウス。文句は一切受け付けないわよ。
普段のを投入したら絶対女子がウザイほど来ると思うから女装さておくわね。感謝し崇め奉りなさい、このエロ男共。
にくっついて騎士しておけば、それなりにも人酔いしないでしょうし。ここまでお膳立てしておいて人酔いさせたら殺すけど。
の為にも絶対にから離れない事、いいわね?
連帯責任だから覚悟してを守りなさい。
追伸
やっぱり素がいいからかしら、の格好よく似合うでしょう?
「……しくじったら、ぼくたち死ぬね」私の代わりに(かなり不安だけど)セブルスに頼んだから。
マクゴナガル先生も許可してくれたし、シリウス。文句は一切受け付けないわよ。
普段のを投入したら絶対女子がウザイほど来ると思うから女装さておくわね。感謝し崇め奉りなさい、このエロ男共。
にくっついて騎士しておけば、それなりにも人酔いしないでしょうし。ここまでお膳立てしておいて人酔いさせたら殺すけど。
の為にも絶対にから離れない事、いいわね?
連帯責任だから覚悟してを守りなさい。
追伸
やっぱり素がいいからかしら、の格好よく似合うでしょう?
「……ああ」
「死ぬというか、殺されるな」
普通に殺すとか書いてある手紙をそっと隠し、三人が額を寄せて嫌な汗を流す。
「でもリーマスもお前も、を他の奴等に渡す気なんてないだろう?」
「当然、リリーの許可証があるんだよ?」
「それがどの権力よりも強い気がしてぼくは嫌だ……」
「……強いんだよ、あのリリーが許可したんだぞ?」
「お前たち一体何を話しているんだ?」
三人だけで何を相談しているのか心配、というか不安に思ったは中に割って入ってジト目で三人を見る。
その視線はを信用していない目だった。
「リリーからね、を人酔いから守るように(守らないとブチ殺すぞ)よろしくだって」
「……ふーん。じゃあ、よろしく頼むぞ、スネイプ」
「何でスネイプだけなんだよ!?」
「そうだよ、。仮にもぼくらだってリリーから頼まれた身だよ?!」
その言葉に、は限りなく冷めた視線を二人に投げた。
「今回誰の所為で来たくもない社会見学に来たと思っているんだ?」
その口から放たれる言葉は冷たい、が今のには、何を言われてもいいとか二人は思っていたりするから結構危険である。
エスカレートしないように気をつけながらそれがバレたら自分たち死ぬよなーとか思い、さすがに女の姿のに抱き付くのは自制していた。
「……不安だ」
そんな三人を見ながら、多分今回一番苦労するだろうと既に胃を痛めているスネイプは、そう呟いたのだった。