曖昧トルマリン

graytourmaline

合法ドラッグ

 シリウスに変な薬を飲まされたという。しかも、あのリーマス自作の薬だ。
 常識的に考えて、何も起こらないはずがない。
「で、縮んじゃったんだ」
 ジェームズがベッドの上でブチキレている黒髪の幼児に対して面白半分、同情半分の視線を送った。
「その上に測られたように運悪く元に戻す薬の材料がないなんてお約束っぽく劇的すぎるね」
「げきてきじゃない」
 少しばかり舌っ足らずの言葉でジェームズに怒りをぶつけているはシャツ一枚というロリ及びショタコンにいつでも拉致られる準備が出来ています的可愛らしさで大きなヌイグルミを抱えていた。
「ぜんぶるーぴんとぶらっくがわるいんだ」
「はいはい、くんは悪くないねー。ところでその悪戯した人達は?」
「つえでさしてきた」
「杖は刺すものじゃないけど、よく出来ましたねー。その歳で流血惨事を招いたくんにはご褒美を……」
「いらないうえにこどもあつかいするな。ころすぞ」
「はっはっは、僕ら元々ガキな上、更に幼児化したらそれこそ子供だよっ!」
 かなり頭にきているの神経を逆撫でするジェームズに、何も見ようとしない現実逃避寸前のピーターに彼を止める術はない。
「でもこんな可愛らしいと二人きりでいると、基本的にノーマル思考のぼくだってちょっと理性が危ういよ。小さい頃の君って可愛過ぎて色々と悪戯したくなる。性的な意味の」
「このへんたいが!」
相手なら変態でも構わないとか思えてくるから不思議だよねー」
「おしたおすな!」
 もはやこの場にピーター少年の存在は無に等しい。
 このままお子様厳禁夜の世界へ真っ昼間から旅立っても彼は青い空を眺めながら白くなるだけだろう。
 誰か彼に心理的にも体力的にもフォロー出来る友達を作って上げてください。
「ほら、ジャパン・ホーソー・キョクでもあるじゃないか。イッてみようヤッてみよう、だっけ?」
「ころすっ、きさまもあとでぶちころすっ!」
 服に手がかかり、最早彼を誰も止められないのかと思いきや、盛大な爆発音が全てを遮った。ドアを破壊してそこに現れたのはホグワーツの女帝、リリー・エバンズ様その御方。
 いつもながら神々しく御美しいリリー様だが、今の彼女の纏うオーラは先程のの比ではない。同級生に躊躇い無くブチ殺す等と物騒な事を言ってのけたも思わず黙ってしまうような気迫だった。
「ジェームズ! あなた私という存在がありながらなに男、しかも幼児に手を出してるのよ!」
「や、やあ。リリー……」
に手を出すなって何度言えば気が済むのかしらこの鹿はっ! だからいつまでも鹿なのかトナカイなのかわかんない曖昧などうでもいい存在なのよ! サンタクロースの手伝いでも行ってらっしゃいっ!」
 かなり酷い言われようをしているジェームズだが、それもまた一つの愛さ! とか言っているのでグリフィンドールのキングもそろそろ頭のネジの締め替え時だ。
、大丈夫?」
「えばんず……」
「こんな変態と二人きりにさせてごめんなさい……あら、ピーター居たの? 役に立たない男ね。さ、他の変態が戻ってくる前に女子寮へ逃げましょう」
「……じょしりょう」
 なんだかは嫌な予感がしまくった。果たしてしない人間がいようか。
「あら、じゃあココにいる?」
「……いやだ」
 それはもっと嫌だ。かなり嫌だ。心から嫌だ。
「それじゃあ行きましょうか」
 という事で、幼児化したは女帝に言いくるめられ、見事拉致されたのだった。